株式会社サイエンスインパクト

名古屋大学との共同研究契約の締結について

弊社は、「原子核乾板」の技術を産業に応用することを目指して、国立大学法人名古屋大学と共同研究契約を締結しました。

原子核乾板は、通常の写真フィルムと同様に、ゼラチンとAgBr(臭化銀)結晶とからなる乳剤をベース板に塗布した構造をしています。 通常の写真フィルムと異なるのは、荷電粒子に反応するほどの高い感度を持っている点です。

原子核乾板の中を荷電粒子が通過すると、通過した道筋に沿ってAgBr結晶が反応します。 反応したAgBr結晶は、原子核乾板を現像処理することにより、銀粒子に変化します。 こうして現像した原子核乾板を顕微鏡で観察すると、 荷電粒子が通過した道筋にそって銀粒子の並びを観測することができます。 これにより、荷電粒子が通過した跡(飛跡)を検出することが可能となります。

現像後の原子核乾板を顕微鏡で観測した様子。黒色の線(銀粒子の連なり)が、荷電粒子の飛跡。(提供:名古屋大学)

銀粒子のサイズは約十ナノメートル~数百ナノメートルです。 すなわち、数十から数百ナノメートルの精度で、荷電粒子の通過位置を測定できます。 このように高い空間分解能を持っているのが原子核乾板の大きな特徴です。 また、原子核乾板は、電力を供給しなくても検出器として機能するという大きな特徴があります。 このため、地中深くや深海の底、火山の近傍など、電力の供給が困難な場所でも使用可能です。

原子核乾板はこうした優れた特徴を持つものの、その一方で、顕微鏡で飛跡を観察して位置や角度を測定する必要があり、 その作業(スキャンニング)が非常に大変で時間がかかるという難点がありました。

名古屋大学では、長年にわたり飛跡の自動読み取り装置を開発しており、スキャンニングの自動化が図られています。 また、高速化も図られており、大型対物レンズ、大型CMOSカメラアレイ、GPUアレイによる画像処理スパコンを開発し(全て独自開発)、 現在では1時間で1平方メートルの範囲から飛跡を読みだすことが可能になっています。 読み出すデータ量は毎秒30GBに達します。(フェイスブックが全世界から集める毎秒のデータ量の約10倍、ツイッターの約200倍)

名古屋大学との共同研究では、こうした原子核乾板の技術を産業に応用することを目指しています。 特に、宇宙線を用いた大規模構造物の非破壊検査技術を開発し、事業化することを目指します。

宇宙線を用いた非破壊検査技術について

地球上には、宇宙から「宇宙線」と呼ばれる放射線が降り注いでいます。 地上付近では、宇宙線の主成分はミュー粒子と呼ばれる荷電粒子です。 ミュー粒子は透過力が高いため、構造物を透過してきます。 ここで、ミュー粒子の透過のしやすさは、構造物中の密度(物質量)によって異なるため(密度が高いほど透過し難く低いほど透過しやすい)、 透過してきた宇宙線を観測することにより、構造物中の密度分布を見ることができます。X線撮影と同様の原理です。 本共同研究では、橋脚などのコンクリート構造物の鉄筋検査や、地盤検査、地中の空洞の探索などにこの技術を用いることを目指しています。

コンクリート柱を透過した宇宙線量(モンテカルロシミュレーション)。鉄筋の部分では宇宙線の数が減る。これにより鉄筋の有無・位置を検査可能。(提供:株式会社サイエンスインパクト)

本共同研究契約の締結により、関係各所の皆様にはこれまで以上にご協力をお願いすることが増えるものと思います。 引き続きご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。

株式会社サイエンスインパクト
代表取締役 成田 浩司

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